製紙メーカー APP > 環境・社会への取り組み(CSR) > CSRニュース > レインフォレスト・アクション・ネットワークが発表した当社に関するプレスリリース及び報告書につきまして

環境NGOであるレインフォレスト・アクション・ネットワークが2019年10月3日に発表したNGO共同プレスリリース:新報告書『紛争パルプ材植林地』発表〜インドネシア製紙大手APP社と地域社会との対立、数百の紛争を特定〜、並びにそこで紹介されている環境NGOの連合体Environmental Paper Networkによる報告書の内容につきまして、以下のように回答をさせていただきます。



環境NGOの連合体Environmental Paper Networkの報告書に対する回答
~当社原料供給会社の伐採権保有地における社会紛争について~



アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)の原料供給会社の伐採権保有地の境界線の内外には、そこで生活を営んでいる農村や森林コミュニティがあり、当社にはこうした人々に対する責任があることを認識しています。こうした人々は当社にとって、森林火災の防止と鎮火、環境保全林の保護、不法侵入への対処などの多くの分野で極めて重要なパートナーです。

当社は2013年に発表した森林保護方針(Forest Conservation Policy/FCP)の一環として、新しい事業開発に着手する場合、その事業によって影響を受ける地域の住民から、「十分な情報を与えられた上での自由意思による事前の合意(Free, Prior and Informed Consent/FPIC)」を得ることを誓約しました。これはすでに事業活動が行われている地域であっても同様であり、FPICは各原料供給会社の年間作業計画を策定するプロセスの一部となっています。植林事業などで地域の景観に変化が生じる場合、このFPICプロセスを通じて周辺の地域住民に情報が伝えられ、彼らの合意を得ることになります。

また、当社はFCPの一環として地域コミュニティとの土地紛争に取り組むことを誓約しており、解決に至っていないすべての土地紛争の総合的評価とマッピングを開始しました。この活動はThe Forest Trust(TFT)の支援を受けて2013年に終了しましたが、その後、解決に向けて取り組んできた3件の紛争に関し、当社の紛争解決ガイドラインを実地で試験的に利用するパイロット・プロジェクトに着手しました。


■ 1件目はジャンビ州のセニエラン村で、紛争発生は2000年に遡ります。ジャンビ農民組合(Persatuan Petani Jambi/PPJ)とインドネシア政府環境林業省の協力を得て、2013年7月、最終的に満足のいく解決に至りました。EPNの今回の報告書の執筆陣のひとつでもあるWALHI Jambiは、この紛争解決プロセスの初期メンバーでした。

■ 2件目はリアウ州のダトゥク・ラジョ・ムラユ村で、紛争発生は2007年でした。本件は、紛争の解決に向けた協力的アプローチを専門とする地域NGOであるScale Upの支援を得て、2015年6月に解決に至りました。

■ 3件目のプロジェクトは南スマトラのリディン村で、2017年3月に解決に至りました。2004年に始まったこの紛争解決プロセスでは、Wahana Bumi Hijau(後のHutan Kita Institute/HaKI)、Impartial Mediator Network (IMN)、地域政府、環境林業省にご協力いただきました。


EPNの報告書の執筆陣と同じく、当社も土地紛争の解決は複雑なプロセスだと考えています。紛争の形態はすべて異なっており、それぞれ独自の解決策が必要となります。比較的容易に解決に至る紛争もあれば、土地の権利の重複といった解決が難しい案件では、多くの場合、政府による外部介入が必要となります。報告書でも言及されていましたが、APPが土地紛争を6つに分類しているのはこうした独自性のためであり、紛争の解決にはそれぞれ異なるアプローチが必要だからです。

私たちは前述のパイロット・プロジェクトの経験から、土地紛争に関する情報は繊細であり、そうした繊細な情報を公開することは、必ずしも現在進行中の解決プロセスに役立つわけではないことを学びました。調停が途中で頓挫することのないよう、私たちは、私利を画する第三者による干渉から紛争解決プロセスを守らなくてはなりません。一方で、当社はステークホルダーの皆さまから情報を取り入れており、紛争解決に向けて多くのステークホルダーと協力して取り組むことの価値を承知しています。

紛争解決に向けた多くのステークホルダーとの共同取り組みは、解決プロセスを促進すると同時に、より良い結果をもたらします。解決に至った紛争には、そのほとんどすべてにおいて、地域政府や仲裁専門家、NGO代表といった調停役が関わっていました。しかし、関係する当事者は最初から最後まで調停プロセスに取り組み続けなくてはなりません。関係者が途中からプロセスに参加したり、反対に離脱したりすると、多くの場合、それまで進めてきた交渉をもう一度やり直すことになり、紛争の解決は大幅に遅れることになります。

こうしたことを考慮して、2017年、当社はインドネシアを拠点とする環境NGOのEco Nusantaraによる支援を受けて、紛争解決プロセスを強化および促進する取り組みの一環として、リアウ、ジャンビ、南スマトラ各州で地域社会ワーキング・グループを発足させました。このワーキング・グループは、地域政府、法律事務所、調停会社、NGOといった、さまざまなステークホルダーで構成されています。当社はEPNの報告書の執筆陣に対しても、このワーキング・グループへの参加を呼びかけてきました。

APPは透明性が重要であることを理解しています。2013年、APPは森林保護方針の着手にあたって、紛争解決作業部会という非公開プラットフォームを立ち上げ、複数の著名な環境NGOを招待してFCPの進捗状況やFCPを実施する際の課題について討議してきました。Environmental Paper Network (EPN)もまた、この紛争解決作業部会の会議に出席してくださいました。

2015年、この紛争解決作業部会はステークホルダー・アドバイザリー・フォーラムへと変わり、より広い範囲のNGO団体を含む多くのステークホルダーを招き、FCPを実施していく上でのご意見を頂戴しています。

ステークホルダー・アドバイザリー・フォーラムは現在までに8回開催しており、地域コミュニティとの紛争とその解決の問題は、このフォーラムで何度も話し合われてきました。例えば2019年3月に開催されたフォーラムでは、特定された紛争の49%が解決されたことを報告した上で、複雑であるがゆえに解決が難しい未解決の紛争にどのように働きかけるべきかステークホルダーの皆さまにアドバイスをいただきました。当社は常に、EPNや今回の報告書の執筆者の皆さまをフォーラムに招待してきました。

EPNの報告書の結論とは違って、APPはすべての未解決の紛争を公平かつ合法的に解決すべく全力で取り組んでいます。APPの原料供給会社は、インドネシア政府の農地改革プログラムを支持して伐採権保有地の一部を地域コミュニティに開放した初めての企業でした。

結局のところ、すべての伐採権保有地はインドネシア政府によって保有され、統治されています。伐採権保有企業として、APPと原料供給会社には、指定された使用目的に従って責任を持って土地を管理する法的な義務があります。法律で定められた使用目的に反して土地を転換したり、開発から除外したり、解放すべきだというご提案やご要望は、インドネシア政府に対して提出されるべきであり、その決定は政府が行うことになります。



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