【2019 年4 月24 日、インドネシア】――4月22日、アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は世界水の日を記念して、インドネシア・グローバル・コンパクト・ネットワーク(Indonesia Global Compact Network/IGCN)およびジャカルタのユネスコ代表部と共同で、「誰一人として取り残さない」をテーマとするセミナーを開催しました。このセミナーの席で、インドネシア・グローバル・コンパクト・ネットワーク(Indonesia Global Compact Network/IGCN)の特別作業部会であるインドネシア・ウォーター・マンデート・ワーキンググループ(Indonesia Water Mandate Working Group/IWMWG)が、インドネシアのベルバク・センビラン、コモド、ワカトビにあるユネスコの生物圏保護区を水の安全と保全に関するプロジェクトの候補地として指定したことを発表しました。
学会や企業、NGO、関連団体から100名以上が参加したこのセミナーは、インドネシアを含む世界で課題となっている「清浄水の利用」に焦点を当てたものでした。飲料水の入手困難や水質の汚染に加え、衛生問題も課題のひとつとして取り上げられました。インドネシアは世界で4番目に人口が多い東南アジア最大の国ですが、国民2億6,700万人のうち3、000万人以上が清浄水を使える環境になく、さらに5,100万人が適切な下水処理施設を利用できずにいます。加えて、インドネシア各地の多くの地域コミュニティが洪水や干ばつなどの問題に直面しています。
インドネシア・ウォーター・マンデート・ワーキンググループはこうした脅威に取り組むために設立されました。APPが主導するこのグループは、水の保全に取り組む地域コミュニティや非営利団体、企業によって構成されており、地域の人々と協力して、水のより良い管理と安全のためのプログラムを開発し、実施しています。
「2019年の世界水の日のテーマは『誰一人として取り残さない』ですが、これは、誰もが清浄な水を利用する権利があることを強調するものです。また、清浄水の供給や下水の処理、環境の保全には、水の利用が不可欠です」とIGCNのY・W・ジュナディー理事長は述べています。
IGCNが積極的に推進している主な取り組みは、地中に垂直方向に伸びるバイオポアという筒状の穴を設置することです。これは水を土壌に浸透させる方法であり、土壌の保水力を高めて溢れた水を吸収させることを目的としています。2018年、IWMWGは洪水の影響を受けやすい景観地域に95万本のバイオポアを造成しました。
APPシナルマスの持続可能性担当役員エリム・スリタバは次のように述べています。「インドネシア・ウォーター・マンデート・ワーキンググループは、清浄な水と衛生に関する6番目の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal/SDG)を含むSDGsを達成するため、学術的な調査に加え、現地のステークホルダー間の協力を奨励しています。当社はユネスコとの共同取り組みの一環として、バイオポアの設置や廃棄物管理方法の研修を行い、水を管理する技術を社会に普及させています」
水の安全と保全に関するプロジェクト候補地の発表に先立って、IWMWGがパリ島で行った、水の利用環境と水質に関するパイロット・プロジェクトの成功事例が紹介されました。この成功事例は、今後プロジェクトが実施される他の地域のプロジェクトにおいて基盤となることでしょう。
パリ島でのプロジェクトはAPPが支援して2016年に開始されたものであり、パリ島の人々に貯水技術を紹介すると共に、水の管理や廃棄物管理、汚水処理に関する研修などを行ってきました。また、このパイロット・プロジェクトの一環として、洪水の被害を受けやすい重要な地点にバイオポアを設置しました。このプログラムによって、パリ島の人々の生活の質が向上すると共に、島を訪れる観光客が水の利用やごみを削減する方法について学んでくれることが期待されています。
その後、このプログラムは「インドネシアの小さな島々と沿岸地域における水の安全と持続可能な生活」という継続的な事業に発展させることで、ユネスコとIGCNが合意しました。今回の候補地となったベルバック・センビラン地区では、APPとベランターラ基金が水の確保と公衆衛生に関する取り組みをスンサン村で開始しています。2機の浄水設備を導入して320世帯に飲料水を供給するとともに、野外での排泄行為を減少させるために屋外トイレ100基を設置しました。
また、不適切な廃棄物の処理による水路の詰まりや汚染を防ぐため、有機物と無機物を分別するゴミ箱も設置されました。現在、回収されたプラスティックごみは処理場に送られて細かく裁断され、リサイクル資材として販売されています。水の管理に関するこうしたプロジェクトが適切に利用され、かつ、持続されていくように、パリ島のプロジェクトと同様に、スンサン村の人々への教育が行われています。
この日のセミナーイベントは、水の管理における課題とその解決策の事例をまとめた国連世界水発展報告書(World Water Development Report/WWDR)を作成する際の推進力となりました。ユネスコが毎年発行しているこの報告書は、その他の国連機関と共同で作成されています。ユネスコのパリ事務局長であるオードレ・アズレ氏によると、この報告書は、清浄水を利用できずにいた人々に手を差し伸べ、現在の不平等をなくそうと努めている世界の政治的意思に対する支持を反映するものです。
こうしたプロジェクトや教育キャンペーンによって、より多くの企業、団体、地域コミュニティが一丸となって取り組むようになり、インドネシア全国民のための持続可能な水の供給と管理が2030年までに実現することを、APPとIGCNは期待しています。
<インドネシア・グローバル・コンパクト・ネットワーク(Indonesia Global Compact Network/IGCN)について>
IGCNは国連グローバル・コンパクトのインドネシア国内ネットワークであり、持続可能な事業の運営のために、研修や働きかけ、対話、共同取り組みを通じ、国連グローバル・コンパクトの10原則を推進することを目指しています。IGCNは企業や非営利団体、研究者に対し、国連の持続可能な開発目標の支援に対する協力を呼びかけています。
www.indonesiagcn.org/
<APP について>
シナルマスの一部であるアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は、インドネシアおよび中国の紙パルプ製造企業グループの総合ブランド名です。ティッシュ、包装製品および紙製品の世界的な需要は増大を続けており、APPにはそうした需要を満たす高品質の製品をお届けする責任があります。APPの紙、パルプ、包装製品、加工製品の生産能力は年間2,000万トンを超えており、その製品は毎日さまざまな形で世界中の消費者のお手元に届けられています。
サプライチェーンの完全性の維持と持続可能性ロードマップ2020の誓約はAPP の事業活動にとって極めて重要です。詳しくは、当社の持続可能性報告書や森林保護方針をお読みください。
https://www.asiapulppaper.com/
<APP ジャパンについて>
エイピーピー・ジャパン株式会社(APPJ)は、インドネシアと中国を本拠とする総合製紙企業 APP グループの日本における販売会社です。1997 年の設立以来、20 年以上にわたり日本市場のお客様のニーズにお応えするため、印刷用紙、情報用紙、板紙、コピー用紙、文房具などの分野で、多様な紙及び板紙製品を提供しております。2016 年 4 月にインドネシア企業としては初めて日本経済団体連合会(経団連)に入会しました。
www.app-j.com/
詳細な情報がご入り用の方、また、ご意見をお寄せいただける方は、下記までご連絡ください:
エイピーピー・ジャパン株式会社
サステナビリティ-・コーポレートコミュニケーション本部 山崎・加藤
Tel: 03-5795-0023 Fax: 03-5795-0065
E-mail: sustainability@appj.co.jp