・泥炭地ベストプラクティス管理プロジェクト進展に伴い、3,500を超える水路の堰き止めが完了
・サプライチェーン内の自然林保護と地域コミュニティの発展を目指した森林農業プログラムを展開
・APPが立ち上げた「ベランターラ基金」による、インドネシアの環境保全プロジェクトの管理および 資金提供の準備
・新しい総合火災管理戦略の実施に伴い、防火対策の強化を実施
【2016年2月4日‐ジャカルタ】 アジア・パルプ・アンド・ペーパー(本社:インドネシア 会長:テグー・ガンダ・ウイジャヤ、以下APP)は、「森林保護方針(Forest Conservation Policy、以下FCP)」の導入から3年を迎えた2月4日、泥炭地ベストプラクティス管理プロジェクト(Peatland Best Practice Management Project、以下PBPMP)を発表しました。
2013年2月に開始されたFCPは、サプライチェーン内の森林伐採を即座に停止し、持続可能性を当社の企業経営の最先端に置くというAPPの誓約です。この誓約には、すべてのサプライチェーンにおける自然林伐採の停止、泥炭地のベストプラクティス、および社会問題の解決に向けた協調的な取り組みの導入などが含まれています。
特に、泥炭地上にあるAPPの原料供給会社の管理地(コンセッション)の水位を上げるために3,500以上の境界水路を堰き止める取り組みが最近終了したほか、2016年第1四半期中に合計7,000ヵ所の貯水池を建設する予定です。この取り組みは、2015年8月にAPPが発表したリアウ州と南スマトラ州にある泥炭地上の商業植林地域7,000ヘクタールの操業中止の追加的措置です。APPと原料供給会社はコンセッション内の合計約60万ヘクタールを森林保全と生態系再生のための地域として割り当てました。泥炭地域は特に森林火災が発生しやすく、泥炭地の管理・保護の取り組みはAPPの新しい総合火災管理(Integrated Fire Management、 以下IFM)戦略の最重要事項です。この取り組みは同地域における森林火災のリスクを飛躍的に低減させるためのものです。
【総合森林農業システム】
もう一つの森林保全の取り組みは、昨年12月にパリで開催されたCOP21にて、APPが公表した総合森林農業システム・プログラムです。同プログラムはインドネシアの森林を保護しつつ、地域コミュニティによる代替的な生計手段の開発と経済発展の支援を目的としています。
このプログラムの第一段階として、APPは地域コミュニティの住民が地元で起業するにあたっての物品の提供、およびマイクロファイナンスまたは回転資金を支援します。また、地域コミュニティが総合森林農業システムを活用し、果物や野菜作物の管理能力を向上させていくことを目的とした園芸技術の研修も実施します。同プログラムはAPPのサプライチェーン各地の村落500ヵ所で実施され、今後5年間で最大1,000万USドルを投資する予定です。
【火災の管理】
2016年、APPは新しい「総合火災管理(Integrated Fire Management 以下、IFM)戦略」を展開します。この戦略の主な取り組みは以下の通りです:
・カナダのTREK Wildland Servicesと南アフリカのWorking on Fire (WOF)という火災管理の専門家が、APPと原料供給会社の従業員400名を対象に、「緊急司令システム(Incident Command System、以下ICS)」による防火研修を行います。このプログラムは早期発見や迅速な応答など、一刻も早く防火や消火を遂行する能力を向上させることを目的としており、ICSの実用化に際して防火リーダーを育成するものです。
・熱探知カメラを備えた最新式の航空機2機を新たに導入することで、衛星画像よりはるかに精度の高い火災頻発地域(ホットスポット)のデータを収集できるようになります。この情報はAPPの地理情報システム(GIS)にほぼリアルタイムで送信されるほか、15分以内に現場スタッフに送られるため、新たに発生した火災の脅威に迅速に応対できるようになります。
・消防士が特定されたリスクを正確に検知できるよう、過去の火災発生状況と地域のリスク要因に関する情報を基にした新しい火災パトロール巡回マップを作成します。
・APPの散水を迅速化して消火能力を向上させるため、最大3,500リットルの水を運べる中型ヘリコプター2機を導入します。
【ベランターラ基金】
APPでは、2015年にインドネシア100万ヘクタール(東京都の面積の約5倍)の森林保護・再生支援の取り組みについて誓約して以降、インドネシアでの景観レベルの森林保護プロラムの管理および資金提供を支援するプラットフォームの設立に向けて取り組んできましたが、この程、その一環として「ベランターラ基金」を設立いたしました。「ベランターラ基金」には、政府/非営利団体/民間企業から選出された高い評価を受けている委員で構成される諮問委員会が設置され、またこれに伴い、基金の職員や業務上の権限の付与をはじめ、デュー・デリジェンス・プロセスなどの環境が整ったことから、インドネシアの森林の保護および再生の支援に向けて、「ベランターラ基金」が景観地域で他の主要ステークホルダーと協働していく準備ができました。
「ベランターラ基金」は、経済発展、地域コミュニティの生計、環境保護の間のバランスが慎重に保たれるように、地域コミュニティや市民社会、政府、企業と協働で取り組みを行います。この中には、自然林の再生や絶滅危惧種の保護の管理、持続可能な景観管理の推進に向けた調査の実施などが含まれます。また同基金は、特に自然資源に大きく依存している分野で、地域コミュニティの活性化と地域経済の発展を推進していきます。
「ベランターラ基金」は、さまざまなステークホルダーと協力し、多様な取り組みの連携と情報共有を推進していきます。また、同基金の目標である景観レベルの環境保全取り組みへの資金提供も行います。
【社会面の誓約】
2015年、APPはサプライチェーン内の社会紛争を解決する取り組みを継続する一方で、「情報を与えられた上での自由意思に基づく事前の合意(Free Prior and Informed Consent、以下FPIC)」の実施に重点を置いてきました。この取り組みには、新たな開発が計画されている地域でFPICを実施するという誓約に加え、既存の植林地域における影響の大きい事業活動までその範囲を拡大するという、FPIC手順の改定も含まれています。昨年は南スマトラ州で、現在建設中のオキ工場とAPPの生態系再生森林管理地(コンセッション)であるカラワン・エカワン・ヌグラハ社(PT KEN)の双方で、このFPICプロセスが完了しました。
APPの持続可能性およびステークホルダー担当役員アイダ・グリーンベリーの談話:
「森林保護方針の立ち上げから3年目を迎えた今思うことは、APPが継続して実践してきたこれまでの取り組みが、当社だけではく、それぞれのインドネシア森林関係者と意思を連携することによって、具体的に進展している様子を見て大変嬉しく思います。こうして、森林を保護し、地域コミュニティを活性化し、当社のサプライチェーンを強化するという、林業と紙パルプ事業の持続可能モデルの基本的要素が揃いました。当社は自らの経験から学び、この国で、この景観地域で、それ以外の場所においても、将来に向かってステークホルダーの皆さまとより一層の協力を実施し、次世代のためにより良い世界を築いていきたいと考えています」
APPの「森林保護方針(FCP)」進捗報告書の全文は下記リンクにてご覧ください:
https://www.asiapulppaper.com/sustainability/vision-2020/forest-conservation-policy (英語)