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森林火災の長期的解決策のため、APPが泥炭地管理マイルストーンを発表

APPは泥炭地管理に関する政府の取り組みを歓迎

2015年11月12日――アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は、泥炭地の新たな開発の中止を含む、さらなる泥炭地管理に関するインドネシア大統領令を歓迎します。

本日、APPの泥炭地のベストプラクティス管理取り組みの一環として、リアウ州と南スマトラの泥炭地上にあるAPPの原料供給会社のコンセッションの植林地の境界水路1をせき止めるべく、400ヶ所を超える小規模ダムの設置を終えたことを当社は発表します。このダムは、森林火災防止のために水位を上げ、泥炭地の再潤化を開始することで泥炭林を保護するように考案されたものです。APPとパルプ材供給会社は、リアウ州とスマトラ州で合計3,000ヶ所を超える境界水路にダムを設置しようとしており、その建設は2016年第1四半期に完了する予定です。また、ジャンビ州、南スマトラ州、西カリマンタン州の事業所でも同様の境界水路ダムの工事が進められており、そうした追加のダムの建設も年末までに開始される予定です。

この境界水路遮断プログラムは、APPのすべての原料供給会社のコンセッション内または周辺で、森林と植林地の間により広い緩衝地帯を設けるための第一歩です。緩衝地帯によって森林の境界で自然に近い水位を保てるようになりますが、これは森林の維持に加え、泥炭損失/炭素排出/火災リスクを削減するために必要なことです。

泥炭は部分的に分解された植物素材の集積物であり、湿地帯に典型的に見られるものです。泥炭は生物多様性を支え、大量の炭素を貯留し、スマトラからパプアに至るインドネシア全土で確認されています。管理されていない泥炭の排水は泥炭の乾燥と分解を促し、その結果、炭素を排出すると共に潜在的に燃えやすい状態に陥ることになります。

また、APPは本日、過去2年間にわたって実施してきた自社の泥炭地ベストプラクティス管理取り組みの進捗状況を発表します。これは2013年2月に発表された、すべての自然林伐採と新たな泥炭地開発の即時停止を導入した当社の森林保護方針(FCP)の保全誓約に基づくものです。泥炭地の新規開発中止は科学的評価を行うために課されたものであり、サプライチェーン内の泥炭地の総合的な地図とそうした地域の最善管理慣行を形作るものでもあります。APPは泥炭地マッピングとベストプラクティス管理の策定のため、東南アジアの水文学と泥炭地管理についての専門知識を持つ応用研究独立機関Deltaresを2014年に起用しています。

科学に基づいた泥炭地管理への取り組みの最初の節目となったのは、リアウ州と南スマトラ州の7,000ヘクタールに及ぶ原料供給会社の植林地5ヶ所の操業を即時停止するという2015年8月のAPPの誓約でした。8月以降、空中から遠隔データを収集するLiDAR技術を使い、インドネシアの450万ヘクタールのデータ収集が完了しました。このデータは2016年第1四半期を目途に完成するする東スマトラの沿岸地域の泥炭地の地図と共に、段階的に分析されることになります。

APPの持続可能性担当役員のアイダ・グリーンベリーは次のように述べています:
「景観地域の泥炭地ベストプラクティス管理の大規模な採用は、泥炭景観地域の保護と防火の長期的な解決策であり、過去2年間、当社のパルプ材供給会社の操業地域の泥炭地ベストプラクティス管理の特定にAPPが多額の投資を行ってきたのはまさにそのためです。森林再生と当社のサプライチェーンが泥炭景観地域の水位を維持する水路のせき止めに多大な貢献をできるのは、当社のサプライチェーンをおいて他にありません。今後、我々はインドネシア政府をさらに支援し、他の関係者と共に景観レベルの泥炭ベストプラクティス取り組みを実施して参ります」

泥炭地の保護と森林火災の防止によってインドネシア全体が恩恵を受けられるよう、泥炭地のベストプラクティス管理の結果はインドネシア政府に提出され、企業や地域社会と共有されることになります。

泥炭地管理に関するAPPの軌跡:

2013年
●APPは森林伐採と泥炭地の開発を即時中止:
 ■当社の原料供給会社によるすべての自然林伐採が停止された。APPは泥炭地を含む、残された自然林地域の保護を誓約し;
 ■泥炭地上の新たな植林地開発とインフラ整備は、泥炭の専門家グループの勧告が出るまで保留とした。

2014年
●APPは森林100万ヘクタールの保護と再生を支援する新たな環境保全取り組みを発表。その面積はAPPの原料供給会社がインドネシアに設立した植林地に匹敵する。
●APPは森林保護方針(FCP)の環境保全誓約をサポートする泥炭地LiDARマッピングを実施。

2015年
●周辺の重要な泥炭景観地域を保護し、炭素排出量を削減するため、APPは商業植林地7,000ヘクタールの操業を中止するとの誓約を発表。
●LiDARを使用した泥炭地450万ヘクタールのデータ収集が完了。データ分析が始まる。
●リアウの重要な景観地域の3,000を超える水路ダムの図面が完成。他州のダムの図面づくりも進んでいる。11月11日までに、リアウと南スマトラで400以上のダムが建設される。

                                                     以上
                                 
1境界水路とは、植林地の境界線に沿って走っている水路のこと。

図および写真:


キャプション:泥炭地のベストプラクティス管理プロジェクト(PBPMP)は、DeltaresとAPPが実施する、科学に基づいた管理支援プロジェクトです: [1] はじめにデータ、[2] 次に分析、[3]そして、管理と改善計画支援


キャプション:Light Detection and Ranging (LiDAR/光検出と測距)は、パルスレーザーを活用して土地表面の隆起と植生の形状に関する正確な三次元情報を作成するものです。こうしたデータは一般的にインドネシアでは入手できないものですが、泥炭地管理には欠かせません。


キャプション:APPの原料供給会社のパルプ材コンセッションでの境界水路せき止め計画。スマトラ島リアウ州ケルムタンのコンセッションの一部。最優先事項は、環境保全と火災リスクを軽減するために森林内部および森林を横切る水路をせき止めること。


キャプション:南スマトラ、センビラン景観地域にあるパルプ材植林地を森林に再生するための水路のせき止め



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