グリーンピースインターナショナルによる10年間の進捗報告書に対するAPPの反対声明
2023年10月25日
2023年10月15日、グリーンピースインターナショナル(グリーンピース)はAPPに対して、私たちの環境に関する誓約についてコメントを求めるメールを送りました。APPは、それに対して回答する期限を2営業日だけ与えられました。
APPは比較的短い期限の中で、できる限り包括的に回答する努力をしました。しかしAPPが提供したコメントは、全体の報告に組み込まれるのではなく、脚注として扱われました。簡潔にするためにAPPはグリーンピースが過去に行った同じ発言を再び取り上げている点を指摘しました。
私たちはグリーンピースの発表が、APPが自身の森林保護方針(FCP)を故意に破り、森林や泥炭地の破壊を行い、人権を無視したと主張していると理解しています。これは、完全に証拠不十分な誤った主張であることは明らかです。
グリーンピースの発表は、APPのFCPにおける誓約に対する違反をいくつか指摘していますが、サプライチェーン全体を保護し、森林破壊がないことを保証する、という私たちの4番目の誓約については言及していません。
ここで尋ねるべき合理的な質問は、「なぜ?」です。なぜAPPはインドネシアで最も監視されている林業会社の一つであるにもかかわらず、森林破壊を行う必要があるのでしょうか?なぜAPPが、国際的な認証組織との再提携と関係再構築のプロセスを危険にさらす必要があるのでしょうか? APPに自社の伐採権保有地内で火をつけるメリットがあるのでしょうか?もしAPPがこれらの犯罪行為を利益のために行ったのであれば、なぜAPPのサプライチェーンは尚も森林破壊と無縁であることが検証されているのでしょうか?
森林破壊との関連疑惑について
2013年以降、すべてのAPPの原料供給会社は自然林伐採を停止しています。グリーンピースの報告書の脚注35から37で森林破壊に関与していると主張された森林管理ユニットは、実際には全くAPPの原料供給会社ではないことが証明されています。この点は過去に何度も回答してきましたが、新たな発表の度に誤った同じ主張が繰り返されています。
http://www.app-j.com/topics/1085.html
https://asiapulppaper.com/-/app-response-to-auriga-s-allegations-of-deforestation-in-east-kalimantan
http://www.app-j.com/topics/1796.html
将来における森林破壊の意図の疑いについて
さらに興味深いのは、APPが将来の森林破壊を行う可能性があるため、FCPの誓約を意図的に弱体化させている、という主張です。
提示された「証拠」として、APPがTFA(Tropical Forest Alliance)やそれに続いたFSC(the Forest Stewardship Council)に倣って、(条件付き植林地への転換)期限を2020年に引き延ばしたことが挙げられています。 APPが2022年にSERA(Supplier Evaluation and Risk Assessment)プロセスを改定した際、それはグリーンピースの報告書で主張されているように「静かに」行われたわけではありませんでした。 この改定は、毎年開催されるステークホルダー・アドバイザリー・フォーラムで関係者との協議の後に行われました。 グリーンピースも他の関係者と共に毎年招待されていましたが、出席しませんでした。
いずれにしても、現在におけるAPPの全原料供給会社は、2013年以降自然林伐採を停止しているため、この改定によって森林破壊を行うことは不可能です。APPのFCPに対して主張された”弱体化”がどのようになされるのか不明です。
この(SERAプロセス)改定によって、将来的には2013年以降2020年以前に自然林伐採を行った新しい原料供給会社を受け入れることができるようになります。これもAPPの誓約を弱体化するものではありません。実際のところ、過去の違反者に対して新たに持続可能で責任ある森林管理を推進する経済的なインセンティブを提供することにより、森林保護を強化し、これらの森林管理ユニットが古い習慣に逆戻りするのを防ぐことができます。
この改定にかかわらず、APPはまだ2013年以降に自然林伐採を行った新しい原料供給会社を受け入れてはおりません。承認された原料供給会社の最新リストは、https://sustainability-dashboard.com/in/supplier-management/pulpwood-suppliers で確認できます。
このより建設的な考え方は、グリーンピースのシニアキャンペーンアドバイザーであるグラント・ロソマン氏も確かに検討したものです。
グリーンピース・ニュージーランドのグラント・ロソマン氏は、Climate Homeに対して次のように語っています: 「FSCの(2022年総会)第37号議案 (認証対象となる植林地の開発期限を条件付きで1994年から2020年に変更する議案)の決議には多くの環境的および社会的な利益がある。それは誤用されたり適切に解釈されなかったりするリスクを上回るものである。」
Climate Homeによるグリーンピース・ニュージーランドのグラント・ロソマン氏へのインタビュー
https://www.climatechangenews.com/2022/10/14/loggers-can-now-restore-cut-down-forests-for-fsc-green-branding/
https://news.mongabay.com/2022/10/drive-for-restoration-and-remedy-behind-ngo-cautious-support-for-fsc-changes-commentary/
APPは、これはロソマン氏の個人的な見解であり、FSCとの関係を断ち切ったグリーンピースの見解ではないかもしれないことを認識していますが、APPは彼の声明に同意しており、グリーンピースの見解は見当違いであると考えています。
泥炭地の破壊と森林被覆の減少について
泥炭地の破壊に関する主張も、森林破壊と同様に、明らかに誤っています。この主張は、主に地図、定義、時系列の不統一によるものです。
インドネシアの林業会社として、APPの地図と定義は、インドネシア共和国の法律と規制に代表される公式の地図と定義に基づいています。 APPの(原料)生産および(森林)保護の作業計画は、すべての適切な法律と規制に従って、環境林業省に毎年提出されます。 2013年以降、保護された泥炭地の新しい地域は開墾されていません。 ヌサンタラ・アトラスのウェブサイトに掲載されている地図は、泥炭地管理に関する新たな規制に基づいて更新された地図ではないことをAPPは確認しています。
また、グリーンピースは、泥炭地上植林地の閉鎖と(荒廃林)再生の規模と進捗状況にも異議を唱えています。 APPは2013年からの8年間で、26,883haの泥炭地上植林地を閉鎖したほか、81,245 haの再生作業を開始し、将来的には(自主的にSPA社、TPJ社管理下の)7,300haの泥炭地上植林地を追加で閉鎖します。
重要なことは、森林の再生作業を開始してもすぐに豊かな森になるわけではないということです。個々の木は成熟するのに何年もかかることがあります。私たちの再生作業は、生物多様性と自然再生を導くために、意図的に希少固有種を組み合わせて植樹しています。自然再生の萌芽は非常に早く、わずか数年で新たな成長の兆候が見られます。完全な回復には60年以上かかることがありますが、生態系によってはわずか20年で部分的な再生を達成できます。APPは、NERIを含むさまざまなパートナーと協力して、再生研究を続けてまいります。また、私たちが泥炭地の専門家の助言に耳を貸していないという主張については、APPは2015年からデルタレス(Deltares)、今はそこの専門家が移籍したD4S(Date for Sustainability)と協業しており、同時にインドネシアの泥炭地専門のパートナーであるPT Alas Rawa Khatulistiwaとも協力しています。他にどの「専門家」がAPPに助言し、それが一顧だにされなかったのかは不明です。
再生の基準を満たすレベルに達するにはさらに多くの時間がかかりますが、私たちは引き続きプロセスを推進し、再生プロジェクトの計画、保護およびモニタリングに投資し続けます。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abh3629
森林被覆の減少について、APPは森林被覆状況を追跡するためのダッシュボードに公開されているリソースを維持します。APPは保全地域の監視と保護に取り組んでいますが、それはこれらの地域で森林減少が発生しないという意味ではありません。これは、地すべり、火災、干ばつ、洪水、樹木の疾病などの自然現象、または人為的な干渉、例えば違法伐採、違法採掘、地域コミュニティによる土地開拓などの結果である可能性があります。
前者の場合、回復と再生作業が開始され、疾病の蔓延を防ぐために病気の樹木の除去が必要になる場合があります。
違法な土地開拓の場合、これらのケースは適切な措置を講じるために関係当局に報告されます。
http://www.app-j.com/topics/1700.html
社会紛争について
APPは、原料供給会社の伐採権保有地全体で地域コミュニティとの数々の紛争があることを強く認識しています。これらの紛争はすべて分類され、根本的な原因を解決するためのプロセスが実施されています。ただし、これらの事例は非常に複雑なことが多く、さまざまな立場の利害関係者の組み合わせが含まれており、彼らを協議に巻き込み、プロセスに参加させる必要があります。
(インドネシアにおける)同様の事例を比較すると、APPの紛争解決率は他を圧倒しています。残された事例の進展が遅いように見えるのは、前述のような物事の複雑さのためです。多くの場合、これらの事例は不法占拠や権利の対立を伴うため、誰が交渉のテーブルに着くべきかが不明確になります。
このような事象はまた、違法伐採やその他の既得権益企業など、紛争の泥沼化、長期化から利益を得る利己的な当事者を引き付けます。これが、APPがまだ調停と解決の過程にある地域とコミュニティを特定するダッシュボードを公開していない理由の1つです。
リスト化されている事例は、通常、すでに解決の実施段階にあるものであり、かつ、関係者がその情報を公にすることに同意する場合にのみ公表されます
また、APPは、グリーンピースの発表において、「ドローンを使用して破壊」と主張する表現に強く反対します。この表現は戦争と破壊のイメージを連想させます。実際には、これは誤って軌道を外れた1台の除草剤散布ドローンによるものでした。影響を受けた作物は、樹齢1か月のパームヤシの木15本であり、コミュニティには賠償が行われました。このような事実はグリーンピースの物語に反映されていませんでした。
http://www.app-j.com/topics/1512.html
先住民サカイ族の「迫害」の主張は、実際の状況を大げさに誇張しています
https://asiapulppaper.com/-/asia-pulp-paper-app-sinar-mas-addresses-social-dispute-with-indigenous-community
http://www.app-j.com/topics/1530.html
APPは、FPIC(Free, Prior and Informed Consent/自由意志による、事前の、十分な情報に基づく同意)を含むFCPにおける社会的責任(への誓約)に対して、引き続き完全に順守しています。森林伐採、森林火災、密猟などの問題をしばしば同時に引き起こす社会紛争の、より深い根本的な原因は多くの場合、農村部の貧困です。APPの対応策としては、これらの根本的な原因に対処し、将来の対立を防ぐのに役立つDMPA(Desa Makmur Peduli Api/森林火災防止のための地域活性化)プログラムがあります。
http://www.app-j.com/topics/1664.html
http://www.app-j.com/topics/1644.html
https://asiapulppaper.com/-/response-to-the-epn-report-on-social-disputes-on-supplier-concessions
結論
上記の事実を踏まえ、APPは、グリーンピースの報告書が非常に狭く、一面的なデータを反映していることで、私たちの持続可能性に向けた変革に対する意見を歪めていると考えています。
APPは、無責任なビジネスを「暴露」し、改革に向けて圧力をかけることが、グリーンピースの使命であることを認識しています。しかし、私たちは、過去の違反だけを強調し、逆の証拠を無視したり対応策を伝えたりしないことは不公平だと考えています。APPは、グリーンピースの意見を取り入れて、持続可能性のパフォーマンスを改善するための一連の誓約と進歩的なロードマップを作成しました。APPは過去の失敗に責任を持ち、将来の失敗を防ぐための堅牢な仕組みを作り上げました。私たちは10年にわたり、誓約に従って行動してきました。
APPはこれらの誓約を破る意図はありませんし、私たちの行動がこれを証明し、今後も証明し続けると信じています。
説明する機会を与えてくださったグリーンピースに感謝します。
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