2020年12月11日
当社はEnvironmental Paper Network/EPN NGO連合が発表した『製紙大手APPが自らの森林保護誓約を反故にした。銀行や購買者が一丸となった対策が求められる』とする記事を拝見しました。
この記事は、森林保護と人権に関する誓約を蔑ろにしたとして、アジア・パルプ・アンドペーパー(Asia Pulp & Paper/APP)を非難するものです。しかし、この申し立てには何の意義もありません。実際のところ、その主張は新しいものではなく、過去に質問され、すでに回答が済んでいるものです。この報告書の筆者は単に望む事実ではないからといって、事実を受け入れずに「もうひとつの真実」を推し進めていますが、筆者にそのような権利はありません。
筆者は森林伐採問題について、2017年以降、事実と異なるニュースレポートを引用し、APPが森林伐採に関与しているという誤った主張を繰り返しています。APPはすでに、この主張に対して回答しています。
事実: APPとそのパルプ材供給会社は森林伐採に関与しておらず、2013年の森林保護方針の施行以降、森林伐採によって調達されたパルプ材はAPPのサプライチェーンに混入していない。当社のすべての原料供給会社は「原料供給会社の検証とリスク評価(Supplier Evaluation and Risk Assessment/SERA)プロセス」を経ており、当社の持続可能性誓約を順守していることが保証されている。原料供給会社とそのSERA報告書は当社の持続可能性ダッシュボードで公開されている。
また、同筆者は2020年6月にも、絶滅の危機に瀕しているスマトラトラの死の責任があるとしてAPPを非難しています。この事件が起きたのは5月ですが、実際には、生産地域ではなく環境保全区域で密猟の結果として発生したものです。繰り返しになりますが、本件についてもすでに回答させていただいています。
事実: APPは野生生物の密猟を厳しく糾弾し、Forum Harimau Kita(FHK)や政府当局と緊密に協力して、環境保全地域での密猟を防止する活動を行っている。APPはまた、人と野生生物の衝突を防ぐために、餌場や野生生物の移動経路の整備に出資するとともに、SINTAS基金と協力して伐採権保有地の野生生物生息数調査を実施している。
また報告書には地域紛争に関する主張があり、APPは「影響を受ける地域コミュニティと話し合っておらず」、「紛争の根本原因に対する取り組みが不十分である」と申し立てられています。特に筆者はふたつの事例――これらもすでに回答が済んでいる案件ですが――に言及しています。そのどちらについても、報告書で語られている話は不完全で、その影響は誇張されています。
事実: 「十分に情報を与えられた上での自由意思に基づく事前の合意(Free, Prior and Informed Consent/FPIC)」は、APPの原料供給会社の伐採権保有地におけるすべての植林開発において継続的に実施されており、従来の紛争の解決についても大きく進展している。APPの紛争解決率51%はインドネシアでもっとも高い水準にあると認められている。また、APPは複数のステークホルダーの参画による紛争解決に取り組んでおり、紛争解決プロセス全体で地域コミュニティのプライバシー権を含むすべての法的要件を順守している。
さらにAPPは、「森林火災防止のための地域活性化(DMPA)」という主要プログラムを通じ、地域コミュニティと緊密に協力している。このDMPAには、森林伐採や森林火災、紛争の根本原因のひとつである農村の貧困問題に対処する森林農業システムが取り入れられている。DMPAプログラムによって生計が向上したことが証明されており、2020年には、参加者の収入を少なくとも地域の最低賃金まで引き上げるという新しい目標が掲げられた。
また筆者は、APPの原料供給会社は被害をもたらす火災に「関与」していると繰り返し主張していますが、これにも意義がありません。伐採権保有地の保有者として、APPには伐採権保有地を脅かす火災を消し止める最終的な責任があり、厳格な火入れ禁止方針を採用しています。価値ある植林木や環境保全地域に被害を及ぼすおそれがある火災を未然に防ぎ、また、火災発生時には火勢を抑制して鎮火することは、APPの最優先事項です。
事実: 火災の火元となったことは一度もないが、APPには、原料供給会社の伐採権保有地を脅かす火災を消し止める責任がある。2019年、APPの原料供給会社の伐採権保有地において、農業活動や不法侵入を原因とする火災が発生しているが、同供給会社に対する制裁措置は出されていない。現時点で、APPの原料供給会社の伐採権保有地上で起きた火災について調査中の案件はなく、重大な刑罰が科されたこともない。
APPは完璧ではありませんし、欠点がないわけでもありません。持続可能性に向けた私たちの取り組みは現在8年目に入りましたが、まだ完了してはいません。当社はステークホルダーの皆様と建設的に協力し、さらなる進化と継続的な改善に努めてまいります。また、関係するステークホルダーの皆様は当社の苦情処理メカニズムを通じて苦情の申し立てを行うことができます。そうした申し立ては後日対処され、調査されることになります。こうしたプロセスを組み合わせることで、順守手順における透明性が確保されています。受領した苦情の調査結果は当社の持続可能性ダッシュボードでも公開されています。
当社は批判すべき点は批判していただきたいと考えています。そうしてご批判をいただくことで、失敗に対処できるようになるからです。しかし、事実から目をそらした虚偽の申し立てや事実に基づいていない見解を許すことはできません。
当社が行っている技術革新や環境保全、環境負荷に関する取り組みは、企業として存続していくために不可欠であると考えています。複雑で困難な道のりではありますが、当社は森林保護方針や持続可能性ロードマップを通じ、明らかな進展を遂げています。当社は今後も引き続き、変革の道を歩んでまいります。
当社はこれからも、持続可能性の誓約をかたく順守し続けます。