製紙メーカー APP > 環境・社会への取り組み(CSR) > CSRニュース > 2020年12月8日付けのRANの報告書『FPIC実施原則の必要性』について
~~APPの社会的誓約の主軸~~

2020年12月23日

レインフォレスト・アクション・ネットワーク (Rainforest Action Network/RAN)は2020年12月8日に『FPIC(Free, Prior and Informed Consent/十分に情報を与えられた上での自由意思に基づく事前の合意)実施原則の必要性』という報告書を発表し、地域コミュニティの権利の尊重に関するインドネシアの林産企業の方針や手順の妥当性の評価を行いました。

アジア・パルプ・アンド・ペーパー(Asia Pulp & Paper/APP)は、環境や社会への影響の両方を考慮した総合的な持続可能性方針の一環として、「十分に情報を与えられた上での自由意思に基づく事前の合意(Free, Prior and Informed Consent/FPIC)」の必要性を理解しています。また、FPICの4つの定義[1]すべてを含むFPIC誓約を行っているインドネシア唯一の紙パルプ会社としてご評価いただいたことを感謝しています(当社のFPIC誓約はウェブサイトで公開されています)。

RANがこの評価報告書で述べているように、FPICなどの人権に関する誓約はAPPの森林保護方針に欠かせない要素です。APPの森林保護方針は、同方針の中で宣言され、FPIC標準作業手順(Standard Operating Procedure)に沿って運用されているFPIC誓約とともに、すべてのAPP傘下企業と原料供給会社に例外なく適用されています。APPのFPIC誓約は、アララ・アバディ社やウィラカリヤ・サクティ社、今回の報告書で言及されているその他の企業を含むすべてのAPP傘下企業を統制するものであり、こうした傘下企業が個別にFPIC宣言を行っているわけではありません。

一方でAPPは、シナルマス・グループの他の事業とは別に独立した運営を行っており、経営と株式保有が切り離された構造となっています。FPICやその他の分野におけるAPPの誓約はAPP独自のものであり、同じく独立している他の事業に対する支配力や影響力はありません。

また報告書では、もうひとつの懸念として、標準作業手順としてのFPICプロセスフローの不備が取り上げられています。FPICプロセスを実施する際、APP傘下企業および原料供給会社は、詳細な作業手順に従わなくてはなりません。そして、この作業手順はFPICのプロセスフローに組み込まれたものでなくてはなりません。このプロセスフローは、だれもがプロセスの実施方法をより良く理解できるよう、当社の持続可能性ダッシュボードで公開されています。しかし、詳細な作業手順はその性質上、技術的なものであることが多く、商業的な機密情報が含まれることもあるため、一般的には公開するものではありません。

RANの評価報告書には「改善の余地があり、やらなければならないことが多々ある」というご指摘がありましたが、APPはこれと同じ認識を持っています。APPが特定した改善すべき重要な分野のひとつは、現存する地域コミュニティとの紛争の解決です。

APPはインドネシアの法規やFPICプロセスを完全に遵守していますが、依然として課題は残っています。インドネシアでは歴史的に、地域コミュニティとの紛争が土地を必要とするほぼすべての産業に影響を及ぼしており、APPも例外ではありません。こうした複雑な問題は、複数のステークホルダーが関わるプロセスを通じて取り組むのが最適です。APPは進行中のプロセスを通じ、地域コミュニティとの合意を結ぶという最終目標に至るために確固たる意志をもって取り組んできました。2019年末までに、こうした紛争の51%が解決に至っています。このようにして解決に至った事例のなかには、APPと地域コミュニティが協力して、農場や農地、植林地を共同管理することで、地域コミュニティの所得が向上し、より持続可能な生計手段が確保された事例もあります。

未解決の土地紛争のうち、もっとも大きな割合を占めているのは、伐採権保有地内の集落に関するものです。こうした事例では、政府が企業に事業許可を与える前に、その土地が地域コミュニティによって占拠されていました。紛争を友好的に解決するために、APPは政府と協力して、土地の境界を定め、その境界について合意を形成するための最適なメカニズムを見出すとともに、紛争のマッピングプロセスの全工程で、事業による影響を受ける地域コミュニティと協力してきました。しかし、和解に至るにはすべての関係者の合意が必要であり、これは当社単独で実現できるものではありません。

APPは現在もすべての新たな開発においてFPICプロセスを実施することを固く誓約しています。これはつまり、事業による影響を受ける地域コミュニティの協力と同意を得られなければ、伐採権保有地の開発は行われないということです。APPはまた、未解決のすべての紛争を公平に解決することも同じく誓約しています。

当社の社会的な誓約やFPICの実施についてもっと詳しくお知りになりたい場合には、時間を割いて喜んで詳細を説明させていただきます。

[1]   FPICの4つの定義:

  • 「自由」:強制や脅迫、撹乱、不当な影響や圧力がないこと
  • 「事前」:操業を開始する前に、協議を行い、同意を得るための十分な時間を置くこと
  • 「十分な情報」:事業の内容、規模、進行速度、可逆性、範囲、予想される社会・経済・文化・環境面の影響について地域住民が理解できる形で情報を提供すること
  • 「同意」:地域住民の正当な代表者との誠実な協議の上で、正式な書面による操業許可を得ること。FPICは事業期間を通した継続的なプロセスで、合意内容の不履行や情報の齟齬など特定の条件の下では、撤回されることもある。



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