2020年7月20日、APPはサステナビリティ進捗報告書を発表いたしました。これは従来、当社の森林保護方針の進捗報告書として定期的にお届けしていたものですが、新たにサステナビリティ進捗報告書と名前を変え、森林保護方針の枠を超えた全体的なAPPの持続可能性取り組みの進捗をお知らせする内容となっています。
2013年2月に森林保護方針を発表してから7年半が経過しましたが、APPはその誓約を着実に実行し、進展させてきています。
今回の報告書には、これまで行ってきた持続可能性に向けた活動の進捗状況に加え、持続可能性ロードマップ2020から進化した新APP持続可能性ロードマップビジョン2030の項目も含まれています。ビジョン2030には、国連のSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)の達成を目指すこれまでの取り組みとともに、気候変動に対処する新たな目標が掲げられています。
ビジョン2030は、「製品」、「森」、「人」という大きな柱で構成されており、低炭素生産や自然林の保護、森林火災防止、地域活性化、従業員の管理、ジェンダー平等など、幅広い持続可能性の取り組みを対象としています。
現在、英語版を翻訳しているところですが、報告書の概要は以下の通りです。
なお、英語版はこちらからダウンロードしてご参照ください。
https://asiapulppaper.com/documents/20123/37374/SUSTAINABILITY-PROGRESS-2020.pdf/76a8f9f3-d890-b1bb-8e1c-4b46ecfd43a1?t=1596426870970
森林保護と自然林の再生
〇 木材原料の100%が持続可能な方法で管理されている植林地に由来
〇 APPの全原料供給会社の伐採権保有地内にある自然林60万ヘクタールを保護
〇 同伐採権保有地内の保護地域の自然林消失率は0.35%
〇 同伐採権保有地で森林火災の被害を受けたのは全体の1.69%
〇 インドネシアにある植林地の100%が第三者認証を取得(PEFC森林管理認証およびPHPL認証*)
〇 21,000ヘクタールの森林再生取り組みが進行中
〇 貴重な動物種(スマトラトラ、スマトラゾウ、ボルネオオランウータン)の生息数の維持と地域固有樹種の保全
*PHPL認証:インドネシア政府の持続可能性森林管理認証
生物多様性の保全〇 パートナーと協働して、スマトラトラ、スマトラゾウ、オランウータンなど、絶滅危惧種のモニタリングと保護
〇 固定カメラやパトロールによるモニタリングで、スマトラトラ68頭、スマトラゾウ218頭、オランウータン93頭がAPPの原料供給会社の伐採権保有地を行動範囲としていることが判明
〇 2012年以降、APPの原料供給会社の伐採権保有地内で40頭を超えるトラの子どもが誕生
ベランターラ基金の活動
〇 APPによる支援のもと、419,759ヘクタールの森林保護、2,808ヘクタールの森林再生、51,277ヘクタールの地域共有林の開発に参加
〇 対象区域内の96の村と協働し、地域経済活性化の支援を通じた環境保護に尽力
泥炭地管理
〇 泥炭地保全戦略の策定に向け、環境林業省の研究機関であるP3 EKPIとの協働を継続
〇 泥炭地に適合した代替樹種を研究
社会(土地)紛争の解決
〇 APPは土地紛争解決プロセスを策定し、紛争タイプを分類化
〇 2019年、APPは伐採権保有地内に存在する「村」の分類に該当する紛争の解決に向け、重点的な取り組みを継続
〇 2019年、特定された土地紛争の51%が解決済み
〇 土地紛争の解決には、政府、地域コミュニティ、企業間の連携と協調が不可欠
地域社会の活性化
〇 地域活性化による環境保護を目指し、総合森林農業システム(Integrated Forestry & Farming System)のコンセプトに基づくDMPA(Desa Makmur Peduli Api/森林火災防止のための地域活性化)プログラムを積極的に推進
〇 2019年12月時点、335の村落グループで同プログラムを実施し、約22,000世帯がその恩恵を享受。また、82の女性グループがプログラムに参加
〇 プログラムに参加した農民の中には、収入が1.5倍に増えた人も
〇 活性化プログラムの一環として、マーサ・ティラー・グループと協力し、女性の就労の機会の増大に寄与
最後に、APPジャパンはベランターラ基金の活動を支援するため、当社が販売するコピー用紙の売り上げの一部を寄付しています。2019年9月に初めて寄付した10万円は、スマトラ島におけるスマトラトラの生息調査費用の一部に使われました。今年4月からは当社ブランドの普通コピー用紙のすべて寄付の対象とするなど、今後も引き続き支援して参ります。
APPはビジョン2030で掲げた目標の達成に向け、これからも継続的に取り組んで参ります。
皆さまのご理解、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。