ウジュン・クロン国立公園での幼いサイの目撃情報 / 日本からの寄付金が最大の貢献
【2012年12月4日、ジャカルタ】 絶滅危惧種であるジャワサイの保全を目指す官民によるユニークな共同プロジェクトの2年目への継続に向けた調印式がジャカルタで開かれ、アジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループ(APP)は、ウジュン・クロン国立公園とのジャワサイ保全パートナーシップをさらに12ヶ月延長することに合意しました。
本パートナーシップ事業は、ウジュン・クロン国立公園内に生息するジャワサイの個体数増加に向けたインドネシア林業省による取り組みを支援する目的で、「2007~2017年インドネシア・サイ保全行動計画及び戦略」に沿って進められています。
今後1年間をかけて、ジャワサイの生息地回復に向けた取り組みの拡大や個体数の継続的な監視が、ジャワサイ保全活動グループ(CWG)によって進められます。また、現地チームは、CWGからの資金提供に基づき、すでに国立公園内に設置されている60台のカメラを使ってサイの個体数を監視します。
最近では数頭の母サイに連れられた6頭の赤ちゃんサイの姿がウジュン・クロン国立公園内に設置された隠しカメラにより撮影され、ジャワサイ生存への期待が高まりました。しかし、推定残存個体数はわずか50頭といわれ、ジャワサイが世界で最も深刻な絶滅危惧種である状況は依然続いています。(赤ちゃんサイの動画はコチラから)
CWGが示した今後1年間の優先的取り組み事項
CWGによる生息地回復事業の目的の1つは、ジャワサイの餌場を現在の3倍の規模まで回復することです。現在、これらの餌場には侵入植物種ランカップ(Arenga obtusifolia)が生い茂り、サイが主食とする植物の生育が阻まれています。専門家は、こうした餌不足がジャワサイの絶滅をもたらす要因の1つになりうると指摘しています。
APPとウジュン・クロン国立公園とのパートナーシップ事業のもう1つの目玉に、コミュニティ・エンパワーメント(地域社会の活性化)プログラムがあります。2年目となる来年には、国立公園を取り囲む2つの村に清潔な水を提供するためのインフラの基盤建設が予定されており、これにより4000人の生活が改善される見通しとなっています。
また来年には、その他3つの村での有機農業研修も予定されています。一部地域を対象とする標本調査によると、適切な管理下では国の生産量目標である1ヘクタール当たり6.5トンの達成が可能であることが明らかにされており、同地域における米収穫高がこれまで1ヘクタール当たり2トンを上回ったことがないことを踏まえれば、こうした事業には大いに期待できるといえるでしょう。生産量の向上や地域コミュニティへの現実的な収入源の提供は、国立公園やジャワサイの生息地への侵入を減らす上で重要な要素となります。
パートナーシップ事業更新に関する協定は、ウジュン・クロン国立公園園長及びCWGの会長を兼任するハルヨノ博士(Ir. Moh. Haryono)の承認の下、APPの持続可能性・ステークホルダー担当役員であるアイダ・グリーンベリー及びCWGの現場責任者であるエンジャト・スダージャト氏により署名されました。
ハルヨノ博士は次のように述べています。「今回の取り組みは、ジャワサイ保全活動グループがウジュン・クロン国立公園によるジャワサイ保全事業を支援する上で、大きな励みになるものです。2年目以降もウジュン・クロン国立公園内に生息するジャワサイの個体数の増加、そしてこの絶滅危惧種の生存及び長期的な繁栄の確保に向け、協力して取り組んでいきます」
インドネシア政府は、ジャワサイをはじめとする絶滅危惧種保全に向けた官民による連携を奨励しています。最近もこうした保全事業に対する民間セクターによる参加の拡大を呼びかけました。APPによる寄付金の大半は、APPジャパンが日本国内で実施している事業で、コピー用紙の販売による収益の一部をCWGのジャワサイ保全活動に寄付する「Home for Rhino~みんなの紙が、ジャワサイを救う~キャンペーン」によって賄われています。
アイダ・グリーンベリーは次のように述べています。「Home for Rhinoキャンペーンは、絶滅危惧種ジャワサイを保全する必要性や重要性に対する世界的な認識の向上に役立ってきました。本キャンペーンは、関係者の皆様に好評をいただいており、特に日本国内のお客様にはコピー紙の購入を通して保全事業に貢献できるということで好意的に受け止めていただいています。1年目に効果が見られた教育やコミュニティ・エンパワーメント事業は、今後も継続する予定です。政府との長期的な連携を通して、希少種であるジャワサイの保全という共通の目標の達成を目指していきたいと考えています」
ジャワサイは世界屈で最も深刻な絶滅危惧種です。一角獣の希少で高価な角を求めての密猟や、森林への侵入によりもたらされた生息環境の悪化などにより、1900年代の後半から残存個体数が減少し続けています。
APPの持続可能性ロードマップ ビジョン2020に示されている通り、絶滅危惧種の保全はAPPが掲げる生物多様性保全に向けた取り組みの1つです。絶滅危惧種の個体数増加目標達成に向けた政府による取り組みに対する支援も、そうした取り組みの一環として行われています。
以上
APPインドネシアについて:
アジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループ(APP)は、インダ・キアット紙パルプ会社、ピンド・デリ紙パルプ会社、チウィ・キミア製紙会社、ロンター・パピルス紙パルプ会社、エカマス・フォルトゥナなど、インドネシアにある複数の工場で生産されている紙製品の総合ブランドです。APPはインドネシアに本社を置き、世界120ヶ国を超える国々で製品を販売しています。APPの生産設備の大部分はLEIとPEFCによる加工・流通過程認証を取得しています。APPは、2012年6月に持続可能性ロードマップ ビジョン2020を発表しました。これは、環境パフォーマンスのさらなる改善や、生物多様性の保護、地域社会の権利保護に対するAPPの誓約をさらに拡大するものです。主要目標の中には、事業全体で保護価値(HCV)を実践すること、2015年までに植林木への依存度を100%とすることや、2020年までにパルプ材供給会社の100%が持続可能な森林管理(SFM)認証を取得することなどがあります。
「Home for Rhino~みんなの紙が、ジャワサイを救う~キャンペーン」について
APPの日本における販売会社であるエイピーピー・ジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ウイ・キム・ホック、以下APPジャパン)が、生物多様性プロジェクトの一環として、2011年3月に開始したキャンペーンです。このキャンペーンでは、APPジャパンが取り扱う対象のコピー用紙1冊の販売につき3円をジャワサイの保全のために寄付しています。詳しくは特設Webサイト
APPジャパン ジャワサイ保護プロジェクト “Home for Rhino ~みんなの紙がジャワサイを救う。~” をご覧ください。
ウジュン・クロン国立公園について:
インドネシア林業省によって管理されているウジュン・クロン国立公園は、インドネシアで初めて国立公園に指定された5公園の一つで、1992年にUNESCOより世界遺産に登録されました。この地域はジャワで最も大きな低地熱帯雨林のひとつで、57種の希少な植物や35種の哺乳類を保護しています。公園内の絶滅危惧種や希少動物の中にはベンガルヤマネコ、テナガザル、シシオザル、ラングール、クロコダイル、キョン、ネズミジカ、そして野生の放牧牛の群れがいます。公園の周辺の海洋には、オオジャコガイ、クマノミ、エンゼルフィッシュ、ブダイ、木登りのできるトビハゼ、そして2メートルもの高さに水を吐き出して昆虫を捕るテッポウウオなどがいます。 2011年3月、公園内の隠しカメラのビデオに映った親と子供のジャワサイの様子が公開され、繁殖が確認されました。過去10年間、14頭のジャワサイの誕生が記録され、この中にメスの誕生の痕跡もあり、個体数を増やし続ける助けにつながるでしょう。ジャワサイ保全活動グループ(CWG)について:
ジャワサイ保全活動グループは、ウジュン・クロン国立公園法令を基に2011年5月20日付で正式に設立された組織です。本件に関するお問い合わせ先:
エイピーピー・ジャパン株式会社環境・PL 対策ユニット
寺崎 孝穂
T: 03-5217-1256
E: t-terasaki@appj.co.jp
※メールにてご連絡いただく際には、@を半角に変え、送信ください
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