製紙メーカー APP > 環境・社会への取り組み(CSR) > CSRニュース > (プレスリリース)ジャワサイの絶滅危機からの保護活動は軌道に乗っていると専門家が報告

2012年4月23日
APPインドネシア
ジャワサイ保護活動グループ

絶滅危惧種ジャワサイを、現在の50頭から5年後に75頭に増やす計画

インドネシア ジャカルタ――2012年4月20日、ジャワサイを絶滅から救うために組織された官民のパートナーシップは発足から12カ月が経過し、ウジュン・クロン国立公園内のジャワサイの数を5年間で50パーセント増やす計画は順調に進んでいると発表しました。

ジャワサイ保護活動グループ(CWG)は、ウジュン・クロン国立公園の専門家や、現地NGO、民間部門の会社、学識経験者により組織された複合的なグループです。今週、CWGは1年目の動向について報告しました。

ウジュン・クロン国立公園内のサイの生息地を保護し、地域住民の侵入や密猟の削減に重要な進展がみられました。
サイの生息地内に設置された新しいカメラの映像は、貴重な数頭の子どもサイを含む、約35頭の繁殖した群れの存在を明らかにしました。(インドネシア ウジュン・クーロン国立公園内で撮影された、ジャワサイの親子

長期的には、付加価値の高いエコツーリズムによってジャワサイの数を再び継続的に増やすことを可能にするための経済的仕組みを構築できるでしょう。

ウジュン・クロン国立公園園長 兼 ジャワサイ保護ワーキング・グループの会長であるIr. Moh. Haryono博士は次のように述べています。「今回私たちが世界的に発表した映像は、ジャワサイを絶滅の危機から救うための戦いに敗れていないということを示しています。規模は小さいものの、生存している群れが国立公園内に存在しており、状態が良ければ、群れを大きくすることが可能です。CWGの初年度の活動では、官民双方のパートナーの協力を得ながら地域コミュニティーの開発と教育に集中することによって、ジャワサイの生息地を守るための重要なステップを踏むことができました」

ジャワ島の西端に位置し、122,451 ヘクタールの敷地を持つウジュン・クロン国立公園の周辺には、15の村が存在します。
過去12ヶ月のうちに、CWGは地域住民の暮らしを向上するための新たな生活や教育の提供など、いくつもの地域開発プロジェクトを実施し、これによって保護地域に村人が侵入することを防ぎました。

本プロジェクトは、地域社会に直ちに好影響を与えました。3.4キロメートルに渡る竹パイプの植え付けによって周囲の辺境の村に清潔な水が流れ、地元農家に対して行った有機農業の指導では、次の収穫時期に米の収穫高を大幅に増やすことに成功しました。

アジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループ(APP)は、CWGの民間部門の主要なパートナーの一員です。APPは、総合的な持続可能性戦略の一環として、インドネシアの生物多様性と絶滅危惧種の保護に力を注いでいます。
APPの持続可能性・ステークホルダー担当役員のアイダ・グリーンベリーは次のように述べています。「ジャワサイを絶滅から保護するにあたっては、経済発展と社会的進歩、そして生息環境向上の3点が戦略的に重要です。CWGは確実にこの方向で進んでおり、私たちは本プロジェクトの一員であることを誇りに思っています」

この12ヶ月の中で、CWGはジャワサイの生息環境の向上と修復活動を実施しました。この中には、草食動物が食べる植物を駆逐している生い茂った侵入植物であるランカップ(アレンガ・オブツシフォリア)の植生管理などが含まれます。また、ビデオ撮影によってジャワサイの生息数の監視も支援しました。

林業省の生物多様性保全担当ディレクターのバンバン・ノビアント・W博士は次のように述べています。「この協調作業は、実施されている官民パートナーシップの中でも素晴らしい例です。私たちは他のパートナーにも、国の絶滅危惧種保護の努力を支える協調への参加を奨励したいと思います」

CWGは今週、インドネシア林業省の森林・自然保護担当長官であるダロリ博士に初年度の活動報告を行いました。
アイダ・グリーンベリーは次のように述べています。「私たちは、林業省が自然保護活動の支援の機会を民間事業にも与えてくれたことに感謝しています。2年目には、ジャワサイ保護という目標を達成するため、他の民間企業や将来の活動を継続的に支援・指導してくれる専門家が、このワーキング・グループに参加してくれることを願っています。この活動の結果については一般にも公表されていきます」

ジャワサイはかつてアジアのサイで最も多い生息数を誇り、インドネシア、ミャンマー、タイ、マレーシア半島など広範囲にわたって生息していました。オランダ植民地時代に行われた数百年にわたる猛獣狩りにより、生息数は急激に減少しました。1900年代後半に行われたこの動物の高価値で珍しい一角を狙った違法な密猟や、生息環境悪化を引き起こした森林侵略により、生き残ったジャワサイの数も減り続けました。
APPの持続可能性・環境保全に関する取り組みについては、www.rainforestrealities.comをご覧ください。

ジャワサイ保護ワーキング・グループ(CWG)について

ジャワサイ保護ワーキング・グループは、2011年に組織され、現在その活動12カ月目を迎えました。本ワーキング・グループは、ウジュン・クロン公園法令を基に2011年5月20日付で正式に設立されました。(SK. 28/IV-T.10/Peg/2011)

ウジュン・クロン国立公園について

インドネシア林業省によって管理されているウジュン・クロン公園は、インドネシアで初めて国立公園に指定され、1992年にUNESCOより世界遺産に登録されました。この地域はジャワで最も大きな低地熱帯雨林のひとつで、57種の希少な植物や35種の哺乳類を保護しています。公園内の絶滅危惧種や希少動物の中にはベンガルヤマネコ、テナガザル、シシオザル、ラングール、クロコダイル、キョン、ネズミジカ、そして野生の放牧牛の群れがいます。公園の周辺の海洋には、オオジャコガイ、クマノミ、エンゼルフィッシュ、ブダイ、木登りのできるトビハゼ、そして2メートルもの高さに水を吐き出して昆虫を捕るテッポウウオなどがいます。
2011年3月、公園内の隠しカメラのビデオに映った親と子供のジャワサイの様子が公開され、繁殖が確認されました。過去10年間、14のジャワサイの誕生が記録され、この中にメスの誕生の痕跡もあり、個体数を増やし続ける助けにつながるでしょう。



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